特定整備とは、従来の分解整備に加えて、電子制御装置の項目が追加された整備です。2020年4月1日施行の「特定整備制度」にもとづいて実施されています。このページでは、自動車整備工場が対応すべき特定整備についてまとめました。
特定整備は、2020年4月1日に施行された「特定整備制度」によりスタートした整備です。従来の分解整備に加えて、電子制御装置に関する整備項目が定められました。特定整備制度の施行に伴い、名称も「分解整備」から「特定整備」へ変更されています。整備内容自体は、電子制御装置の追加と名称変更を除けば、従来の分解整備と同様です。
特定整備を実施するためには、分解整備に対応したスキルや環境が求められます。さらに、電子制御装置の整備についても、十分なスキルと設備を確保しなければなりません。
特定整備制度には、4年間の経過措置期間が設けられていました。しかし、2024年3月31日で経過期間は終了。2024年4月1日以降は、必要に応じて特定整備を行うことが義務付けられています。
特定整備で追加された「電子制御装置」とは、自動車の安全運転に直接関与する装置です。具体的には、以下のようなものが対象とされています。
電子制御装置とは、自動運転システムに関わる制御装置です。そのコントロールに関与する電子機器や装置の総称でもあります。実際の点検整備では、各部位のシステムや特性に応じて、適切な作業を行わなければなりません。
自動車整備工場で特定整備を適切に行うためには、対応した機器やツールが必要です。さらに、特定整備制度の施行によって、整備主任者の資格要件も変更されました。改めて講習を受けることも求められます。
特定整備を実施するための認証を受けるには、従来の分解整備とは異なる要件を満たさなければなりません。その一つが、工場(作業場)の面積です。電子制御装置の点検整備作業に十分なスペースが必要となります。具体的には、取り扱う車両の標準的なサイズに、エーミングに必要な寸法を加えた面積が求められます。
特定整備では、電子制御装置のセンサー類の点検や調整が必要です。この作業は「エーミング作業」と呼ばれます。エーミングには、「静的エーミング」と「動的エーミング」の2種類があります。静的エーミングでは、停止した車両の周囲にターゲットを置いてセンサー類を調整。動的エーミングでは、車両を走行させながらセンサーの検知状況をチェックします。特定整備の対象は、静的エーミングです。
整備工場では、作業に必要な整備用スキャンツールや水準器も備えなければなりません。自動運転装置に記録された情報を取得できる設備環境も整える必要があります。
整備士や工員の人数は、基本的に従来の分解整備と同じです。ただし、整備主任者の資格要件が改定されました。特定整備と分解整備を兼任する整備主任者は、1級自動車整備士、1級二輪自動車整備士、または2級自動車整備士の資格が必要です。さらに、特定整備制度で定められた指定講習を修了している必要があります。
特定整備制度の施行前に整備主任者となっていた人は、改めて講習を受講し、筆記試験に合格することが求められます。
自動車の電子制御やシステムに関する技術は、日々進化しています。自動運転システムや自動ブレーキシステムの進歩に伴い、関連する機器やシステムもますます複雑化しています。
こうした自動車業界の変化や安全性の確保を踏まえ、特定整備制度が開始されました。自動車整備工場では、適切な整備環境や専門人材を整え、特定整備を正しく実施していくことが求められています。
日本の様々な産業や企業を、コンテンツで支援するZenken株式会社が、自動車整備業界にスポットを当てて制作・運営しているサイトです。
当サイトでは、「整備士不足」「自動車製造技術の進化に伴う整備の難易度上昇」「若者の車離れ」など、多くの課題を抱える自動車整備業界で、現在成功している経営者のリアルな声を集めて掲載しています。
ぜひ、自社の課題と似た課題を抱えている会社の事例を参考にしてください。
経営者の声を聞くにあたり、車検のコバックに協力を依頼し、成功経営者のみなさまをご紹介していただきました。