予防整備は少ない作業工数で効率よく売上を増やせるため、多くの顧客に売り込みたい整備の1つです。ただ、予防整備の必要性や重要性を理解してもらうのが難しく、なかなかサービスの利用につながらないと悩んでいる方も多いでしょう。ここでは、予防整備が売れない原因をはじめ、提案する際のポイントや注意点などについて解説します。
予防整備は自動車の故障や事故を未然に防ぐのに有効で、安全性に貢献できるメリットがあります。一方で自動車の性能向上によって不具合が発生しづらくなっており、顧客が予防整備の必要性や重要性を感じにくくなっているのも現状です。また、部品によっては交換に数千~数万円かかるものもあり、費用が決して安くないのも予防整備が売れない原因となっています。
自動車整備工場の利用者は整備に関する知識が基本的に少なく、さらになるべくお金をかけたくないと考えている方も一定数存在するため、予防整備を売り込むのが難しいと感じている事業者も多いでしょう。また、自動車整備事業者の良くない例として、専門用語を使った技術的な説明ばかりになっており、効果的な訴求ができていないというケースもあります。
予防整備を売るには、予防整備の重要性をアピールするのはもちろん、興味を持ってもらえるような説明を行うことが大切です。
予防整備を行ったほうが自動車にかかるコストを最も少なく抑えられると認識してもらえれば、予防整備を積極的に受けてもらいやすくなります。整備に関する知識の少ない顧客に納得してもらうには、次の3つのポイントを意識した提案を行いましょう。
ドライバーの多くは故障したときに修理すればいいと考えがちですが、いざ修理が必要になったときに高額な費用がかかる可能性があります。
たとえばエンジンオイルの交換は1回につき5,000円程度かかりますが、この費用がもったいないからと定期的に交換しなかった場合、エンジンが焼き付いて故障してしまうことも。焼き付いたエンジンを載せ替えるのには数十万の費用がかかるため、半年に1度交換したほうがお得です。
そのほかの消耗品についても、定期的な予防整備を行うことで大きな故障を防げ、修理費を安く抑えられます。長期的な視野で見ると、予防整備を行ったほうが合理的かつ経済的だと説明すれば、なるべく費用をかけたくないという顧客にも納得してもらいやすいでしょう。
予防整備は燃費効率アップにつながるということも、効果的に訴求するうえで伝えたいポイントです。
予防整備を行わないと燃費が悪くなる例として、タイヤの空気圧の低下があげられます。ロードサービスを提供しているJAFが行ったテストによると、空気圧が適正よりも30%少ないタイヤは燃費が4.6%悪化、60%少ないタイヤの場合は12.3%も燃費が悪くなるという結果に。また、タイヤだけでなくエンジンオイルやCVTフルードの劣化も自動車の機能低下につながり、燃費が悪くなる原因になります。
予防整備を適切に行っていれば燃費効率がアップし、ガソリン代を抑えられるということを説明しましょう。
参照元:「タイヤの空気圧不足、燃費への影響は?(JAFユーザーテスト)」/JAF
(https://jaf.or.jp/common/safety-drive/car-learning/user-test/driving-environment/fuel-efficiency)
メーカーの保証整備を受ける条件に「法令で定められた点検・整備の実施」が含まれているため、定期的に点検・整備を行っていないと万が一の故障のときにメーカーの保証整備を受けられない可能性があります。
保証整備の対象であれば、ユーザー側に原因がない故障については高額な整備でも料金は基本的に無料です。予防整備の費用を惜しんで定期的な点検・整備を行わなかった結果、高額な整備費用を実費で支払うということになりかねません。そうならないようにするためにも、予防整備が必要だということを伝えましょう。
異音やエンジンの不調などの不具合が発生してからの整備は、症状の確認や原因の特定、部品の交換、改善したかの確認といった多くの作業工程が必要になります。再現性の低い不具合や難易度の高い診断が必要なケースにおいては、さらに多くの時間がかかる場合も。不具合が発生する前の予防整備なら、劣化した部品を見つけて交換するだけなので、少ない作業工数で効率的に売上を増やすことが可能です。
もちろん不具合が発生してからの整備や故障診断も重要な仕事ですが、効率よく利益を出すという点では予防整備のほうがメリットは大きいと言えるでしょう。
予防整備を前提とした自動車の点検・整備をすることで長期的なアドバイスができ、継続的な入庫につなげやすくなります。リピーターになってもらえれば、整備履歴のデータから次回の入庫時に整備が必要な箇所の予想がしやすく、点検を抜け漏れなく行えるメリットもあります。
地域密着型をうたっている自動車整備工場の場合、顧客1人ひとりとの信頼関係の構築が重要になってきます。故障の発生リスクを抑える予防整備を通して顧客の不安を和らげることは、顧客満足度アップにつながり、信頼関係をより深める手段としても有効です。
顧客からの信頼を獲得できれば、紹介や口コミを通して新たな顧客の開拓にもつながります。
予防整備を提案する際は、予防整備の価値をいかに理解してもらうかがカギとなります。
整備に関する知識の少ない顧客に予防整備の必要性を理解してもらうのは大変ですが、それがしっかりできていないと単なる押し売りだと判断され、工場の信頼低下や悪評にもつながりかねません。そうならないようにするには、予防整備を受けることによる顧客側のメリットを丁寧に説明し、予防整備の必要性を理解してもらえるように努めましょう。
疑問が残ってしまうと予防整備のメリットがうまく伝わらないので、顧客の反応をよく見ながら分かりやすい言葉で説明することが大切です。
予防整備を行って自動車の故障や事故を未然に防ぐことは安全確保につながり、長期的に見たときの修理費用を抑えられるなど、顧客にとってもメリットがあります。
一方で、整備に詳しくないと予防整備の重要性をなかなか理解してもらえず、ただの押し売りだと思われてしまうことも。予防整備の必要性や重要性を理解してもらうには、顧客にとってのメリットを分かりやすく説明し、興味を持ってもらうことが大切です。
効果的な訴求を行うことで顧客満足度の向上につながり、継続的な入庫や口コミによる新規顧客の開拓も期待できます。顧客単価を上げて効率よく売上を増やしたい整備工場は、予防整備を提案する際のポイントをしっかりと押さえ、予防整備の売り込みを成功させましょう。
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