整備工場の廃業や倒産は、経営悪化が理由だけとは限りません。最近では、特に業績には問題がないのに廃業・倒産してしまうケースが増えてきているのです。
このページでは、最近の整備工場でよくみられる廃業や倒産の理由についてまとめました。
業績には問題がないのに廃業や倒産してしまう大きな理由に、後継者不足が挙げられます。
現在の経営者の子供が自動車整備に興味がなく、整備工場を継いでくれない場合、廃業を考えることが多いようです。
特に地方では、家業を継ぐのではなく親とは違う職業に就きたいと考える人が多く、若いときに地元を離れてしまうところも少なくありません。
子供が継いでくれないのなら「長年勤めてくれた従業員に会社を任せたい…」と考える場合も多いでしょう。しかし、長年雇っていた整備士も経営者と同じように高齢になってしまっていると、引き継げないケースが多くあります。
若い人材が入ってこないために若手を育てられなかった、という整備工場では、後になってこのような引き継ぎ問題が起こりやすくなります。
整備工場が廃業を余儀なくされてしまう大きな理由に、人手不足が挙げられます。原因には少子化の背景もありますが、そもそも整備工場の仕事と待遇が釣り合わず、人が定着しにくいといった理由も起因しています。
整備料金が安すぎるという現状が、人手不足を加速させています。
これまで、多くの整備工場が仕事を取るために安請け合いした結果、整備料金の価格競争が起こってしまいました。現在、大手リース会社などから委託される社用車・公用車のメンテナンス料金は、自家用車のおよそ半分ほどの値段にまで下がっています。
自家用車の整備と同じような売上を上げるためには、単純計算でも2倍の仕事をこなさなくてはなりません。人手不足な上に高稼働を求められた結果、辞める人が相次ぐという負のスパイラルに陥り、廃業を招いてしまっているのです。
最近は車の性能が上がって自動ブレーキなどの先進安全装備がついた自動車やEV(電気自動車)が増えてきました。それに伴い、整備士にも新しい知識や対応が求められています。
それに対し、高齢化が進む整備工場では、最新技術に追いつけず対応できないことを理由に廃業を選ぶところも少なくありません。最新技術を備えた自動車を整備できる人材の獲得や育成が業界全体の課題となっています。
整備士不足も全国的な問題となっています。整備士を志す人は年々減少傾向にあり、10年前と比べて1.6万人以上も減少してしまいました。その背景には、趣味の多様化による若者の「車離れ」が大きいと言われています。
最近では女性整備士や外国人が増えてきてはいるものの、整備士志望者は依然として少ないのが現状です。
継承する人が居ない、または経営が立ち行かなくなった整備工場は、廃業かM&Aを選ぶのが一般的です。廃業とM&Aはそれぞれに利点やデメリットがあります。
廃業とは、自ら整備工場をたたむことです。整備工場の結末に廃業を選択すると、以下のようなメリット・デメリットがあります。
廃業すると、納税や債務、従業員の進路、顧客に対する対応など、これまで会社として背負っていたすべての責任からいち早く解放されます。経営者が高齢や病気が理由で仕事ができなくなった場合、廃業を選ぶのが一般的です。
会社に債務がない、または債務を全て返済できる場合は廃業でも構いません。しかし、債務を返済できないまま会社をたたむ場合、廃業ではなく「倒産」になってしまいます。その場合、会社をたたんだ後も社長が個人で返済を続けなくてはなりません。
多くの場合、整備工場の社長も自己破産になるでしょう。また、しばらくの間は倒産した事実が信用情報に残ってしまいます。
M&Aとは、整備工場を第三者に有償で譲り渡して、引き続き経営を継続してもらうことです。
M&Aを行うと、経営者が変わるだけで事業は継続されるので、整備工場の設備や設備、社員、経営ノウハウ、顧客との取引などを維持できます。
社員の雇用や取引先との付き合いを維持できるので、特にステークホルダー(関係者)に与えるメリットが大きいと言えます。
M&Aを行っても、負債や債務を引き継げないケースがあります。会社を第三者に譲渡することを社員や取引先に伝える必要があるため、周知した段階で何らかの問題が生じる可能性もゼロではありません。
また、M&Aには複雑なプロセスが必要なため、専門的な知識が求められます。
整備工場で働く社員や取引先のためにも、何とか廃業や倒産を回避したいなら、M&Aを行うのも一手です。譲渡によって起こりうるトラブルを最小限にしつつスムーズに行うためにも、経営の知識をもった専門家に相談するようにしましょう。
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経営者の声を聞くにあたり、車検のコバックに協力を依頼し、成功経営者のみなさまをご紹介していただきました。