EDRやCDRは、自動車事故が発生した際、その情報を記録・解説するための装置です。ドライバーの高齢化に伴ってこれらの装置が注目を集めており、スムーズな問題解決に役立つとして期待されています。
事故が起きた状況を運転手がきちんと覚えていなかったり、証言が一致しない場合、事故後の対応が難航しやすいです。近年ではASVの普及によって、事故の原因がドライバーの操作にあるのか自動車システムの不具合によるものなのかの判断が難しいケースも存在します。
そんな時にEDRやCDRを利用することで、事故発生時の状況をデータとして取得できるので、事故後のスムーズなトラブル解決に一役買ってくれること間違いありません。
EDRは「Event Data Recorder」の略称で、エアバック作動の前後数秒間のデータを記録できるシステムです。イメージとしては、航空機事故が発生した際に作動するフライトレコーダーが近いでしょう。EDRはエアバックシステムに内蔵されており、自動車を製造する段階でメーカーによって取り付けられます。
国土交通省は、2022年7月1日以降の新型車からEDRの搭載を義務化しており、2026年5月以降にはすべての自動車への搭載を義務化する予定です。また、EDRで記録できるデータは実にさまざまで、国土交通省の発表する「J-EDRの技術要件」では、デルタV(速度の変化)、車両表示速度、主ブレーキON/OFFなど12項目の情報を記録しなければならないと記載されています。特定条件下においては、この他に35項目のデータを記録可能です。これらから、ドライブレコーダーよりもはるかに高性能であることが分かるでしょう。
参照元:国土交通省「J-EDRの技術要件」
(https://www.mlit.go.jp/kisha/kisha08/09/090328/01.pdf)
BOSCH(ボッシュ)の販売するCDRは、「Crash Data Retrieval」の略称です。EDRで記録したデータを自動車から読み取るツールを指します。EDRには事故の記録を書き込むシステムしか搭載されていないので、自動車に接続して情報を読み取るCDRのようなツールが欠かせません。
もともとは、自動車メーカーやディーラーの所有する診断機でデータの読み出しが可能でした。しかし、自動車メーカーだけでなく事故関係者も事故発生時の状況や車両の状態をチェックできるよう、EDRが実装され、それに付随してCDRも必要となったのです。
また、EDRと類似した方法に、外部診断機によるOBDコネクタからの情報取得がありますが、こちらはCANインベーダーをはじめとしたセキュリティの問題などにより、今後は情報取得ができなくなると予想されます。
EDRで記録したデータをCDRで確認することで、事故後のトラブルを解消しやすくなる可能性があります。事故発生時、実際の事故原因と双方の発言に相違が生じるケースは珍しくありません。特に複数台の絡む事故は、当事者全員の発言が食い違うこともあり、実証できるデータや目撃者がない場合は真実が分からないまま過失割合が決定してしまうこともあります。
そんな時もEDRを搭載している車両なら、CDRでデータ解析することで、事故が起きた時の車両の挙動や操作状況を正確に知ることが可能です。
事故が起きた時にCDRでデータを取得しておけば、修理金額や損害金額の推定に役立てることが可能です。ドライバーでは判断しにくい修理・整備についても、データに基づいた正確な評価を受けられるため、納得したうえで作業を進めてもらえます。また、保険金の支払いなどもスムーズになるでしょう。
その他にも、事故歴の有無を証明するツールとしても有効なので、中古車の売却・購入でも役立ちます。
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